Hearts of Darkness (Japanese/日本語)

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  • 公開済み: 20 1 2014
  • アップデートされたもの: 18 3 2014
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一年の休学の間にキンバリー・コールマンはある“ミッション”に巻き込まれる。それは、45日間の間にあの世界的に人気のあるハリー・スタイルズを元の彼にもどすということ。ここ数ヶ月、ハリーはクラブに出入りし、彼の銀行口座の残高はどんどんと少なくなっていった。グループのメンバーたちはそれを心配し、キンバリーの助けを求めた。ハリーがいったい何をしているのか、誰も知らなかった。一つ確かなことは:今のハリーは世界中の女の子が愛しているあのハリーではなく、グループの将来何て気にしていないということ。メンバーたちが思っているほど、ハリーは本当に変わってしまったのか?キンバリーに与えられた時間は45日。彼女はハリーの奥深くにある秘密を探ることが出来るのか?そして限られた時間の中で元のハリーにもどすことが出来るのか?

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20. ✘ "I got some help."

 

電話を切ると、さっき読んだ雑誌が床に落ちた。音を立てて落ちるとそこに丸まった。もうキムとボクの写真は見えなかった。キムとの関係をあきらめたからじゃなかった。反対だ。その記事を読んで彼女のことをあきらめられないことを悟った。

 

ボクのフラストレーションの原因は今の警察からの電話だった。タイラーが見つかった。—死体で。自殺だった。そのあとのいいニュースはザックがつかまったということだった。タイラーはやっと自由の身になることが出来たのに、その選択肢を捨てて逝ってしまった。もしかしたら、タイラーがザックを捕まえさせたのか。ドラッグが抜けたら彼を守ってやろうと思ってた。でも、その可能性も今はない。

 

どう感じていいのかわからなかった。ボクの昔の親友は自分の命を絶った。泣くべきなんだろうけど、できなかった。たぶんもう友情を終わらせていたからなのか。それとも彼と距離を置いていたからなのか?なぜすぐに心に突き刺さるような感情がわき起こらないのかわからなかった。タイラーと知り合って2年。彼はボクのパートナーだった。悲しみ、アルコール、たくさんの秘密、他のヤツには話せないような秘密を一緒に経験した。今はもういない。

 

今はもういない。

 

どうしていいかわからなかった。タイラーの死に哀しみを感じることが出来ないのは、ボクがおかしいからなのか。認めたくなかった、でもキムとのゴタゴタのせいでタイラーのことで泣き崩れてはいられないってことなのか。彼女ならボクを助けることができかも?試す価値はある。

 

いろいろと考える前にキムへのメッセージを送信していた。もし彼女が賢ければ、ボクに答えるべきじゃない。彼女に対してフェアじゃなかった。彼女がやっとやり直そうとしていた時、ボクは彼女から立ち去った。ボクは何てバカなんだ。でも、今彼女にボクの隣にいてほしかった。たった数日でこんなにも考えが変わる何て信じられなかった。でも、考える時間はあった。—久しぶりだった。長い間タイラーのことを考えていて、そんな時間はなかった。

今なら物事をよく考えることが出来た。信じられないかもしれないけれど、キムなしではもう一日も耐えられないという考えに至った。彼女はボクを助けてくれた。いろいろな場面で。彼女は本のことで嘘をついた。でも出版されなくて良かった。

 

すぐ行く。

 

短いメッセージが届いた。彼女が来ると思わなかった。正直彼女が来てくれるとは全然思っていなかった。みんなに頼まれてくるんだろうと思った。ボクたちが(少なくとも他のメンバーが)練習してきたコンサートが今夜開かれるから。今日、ボクたちの今までの中で一番大きなコンサートが。

 

六時間後に始まるコンサートのリハーサルに行ったか?コンサートの会場には?答えはノー。

 

一つしたことは服を着たこと。そして今はソファーに座ってキムが来るのを待っている。エキサイティングな日。。。

 

彼女はドアをノックしないでドアを開けた。ボクたちの視線が合った。そこで彼女は止まった。ドアも閉めずに、石のように固まった。数秒間彼女の美しい瞳がボクを見つめた。それを見た時、ボクはどんなにバカだったかを自覚した。でも、今彼女がそこにいる。ボクは自分自身がどんな態度を取ったかわかっていることを彼女に伝える必要があった。

 

「どうしたの?死にそうな顔してる、」

 

そう言ってから、ドアを閉めた。でも、彼女はボクの隣には座らなかった。

 

「何があったって言うの?急に私に連絡を取ってくるなんて。」

 

優しく言うと、ボクに控えめに笑いかけた。

 

彼女の笑顔がボクの中にある希望に光を与えた。—もしかしたら、まだ望みはあるかも。

 

「タイラーが、」

 

自分でも口から簡単に言葉が出てきたことに驚いていた。それはボクの前にいるのが彼女だからだろう。だから言葉を口にするのがそう難しいことじゃなかった。

 

「君がクラブで会ったタイラーは、何ヶ月もザックからドラッグを買っていた。何日か前、彼はザックを警察に売ったんだ。」

 

彼女がすでに知っているかどうかは関係なくそう伝えた。

 

「でも、ついさっき、電話が来て、タイラーが自殺したって。キム。」

 

膝に肘をつき、手で顔を覆った。こんなことを一人の女性に、一人の人間にこんなに簡単に話せるってことがボクには大きなことだった。こういうことを溜め込んでおく理由はなかった。前にこんなふうに話せたのはいつだろう。

ソファーにあるクッションが動いたことに少し驚いた。そこには、ボクの隣にはキムがいた。

 

「泣かないで、ハリー、」

 

彼女はささやいた。自分が泣いていることに気がついた。ボク、ハリー・スタイルズが好きな子の隣で泣いているなんて。ボクの感は当たっていた。キムがいてくれると、全てが楽になる。これはとても重要なことだ。彼女にそれを伝えよう。

 

ボクは手を放すと涙を拭いて彼女を見た。

 

「ボクはバカだった。メンバーたちにも、ファンのみんなにも、そして特に君にも。」

 

ボクから視線をそらす前に彼女は目を閉じた。ボクが彼女にこんなことを話したことに彼女は驚いていたようだった。全てを抱え込んで、吐き出すのが苦手だった。

 

「何で私にこのことを話してくれるの、ハリー?」

 

ボクは彼女に目を合わせられなかった。

 

「それは、もう溜め込んでおけなくなったんだ、キム。ここ何日か考えていたんだ。本当にたくさんのことを考えていた。」

 

少し息をついて続けた。

 

「ボクが一番考えたことは、—君のこと。」

 

言葉がシリアスな響きを持って飛んでいった。ボクにはそれを止めることが出来なかった。ボクがそれをどれだけ長い間閉じ込めていたのかを表していた。もしボクがこのことにもっと早く気がついていたら、ここ数日はもっと楽なものになっていただろう。全てがもっとうまくいっていただろうに。

 

キムが頭を動かすと、彼女の瞳がボクの目を見つけた。その表情をボクは読むことが出来なかった。彼女はボクを拒絶するのか?またジェニファーのときと同じ経験をすることになるのか?そんなの耐えられない。ボクにも愛される価値があると知りたい。—だめなヤツじゃないってことを。もしキムがボクを拒むなら、タイラーと同じ道を歩むことになる。過去何ヶ月ものネガティブな思いにもうこれ以上耐えられなかった。

 

「それでどんな結論になったの、ハリー?」

 

やるなら今だ。このチャンスを手にして、ボクの将来をボクの前にいる彼女に託そう。

 

「君なしでは生きられない。」

 

ボクの言葉が映画館でのラブストーリーのような、こんなにも詩的なものになるとは思っても見なかった。でもこれは違う。これは本当のことだから。

ボクの人生だ。キムがなんと答えるかは、ほかの人には脚本を書くことが出来ない。それはキムが決めることだ。ボクは不安だった。彼女にはボクのもとから立ち去る権利があった。ボクは彼女に対して嫌なヤツだった。最初からずっと彼女がしていたことは、ただボクをもとのボクにもどすこと。今、タイラーとザックのことを乗り越えて、ここに座って彼女への愛情を語っている。

 

自分一人では出来ないこと。

 

「本気で言っているの?あなたはもう私には関わりたくないんだと私は思ってた。だから、—」

 

ボクは彼女をさえぎると、彼女の手をとった。

 

「複雑だわ、ハリー。」

 

そうつぶやいて遠くを見た。

 

希望の光が消え始めた気がした。彼女はボクに関わりたくないようだ。これでボクたちの仲はおしまい。彼女がここを出て行ったらもう二度と彼女とは会わないだろう。運が良ければペリエと一緒に撮られた彼女の写真を見られるだろう。でも、さようならを言えるようにならなければ。

 

キムもボクが遠くを見たこととボクの手が彼女の手を離れたことに気がついた。ボクの口角が自然と下がった。

 

「ハリー、」

 

彼女は手をボクの肩に乗せた。その時が来た。

 

「もう考えるのはやめましょう。あなたには価値がない何て思っちゃだめよ。」

 

ボクが顔を上げると彼女が優しくボクに微笑んだ。

 

「あなたは私ひとりには充分すぎるほどの価値があるわ。」

 

彼女はそう言った。そう認めるのが恥ずかしそうだった。

ボクが出来ることはただ笑うことだけだった。

そして彼女にキスをした。もちろん。

 

ゆっくりと彼女に寄り添うとボクたちの唇が重なり合った。ボクの不安が幸福感に入れ替わっていった。それはただのキスだったかもしれないけど、キムはボクのものだとボクは知っていた。彼女はボクを嫌っていなかった。それが本当に大事だった。出来る限り優しく彼女を引き寄せると、ボクは自分が笑っているのを感じた。彼女のうなじにボクの手をそっと回すと彼女を抱き寄せた。キムがボクから離れるのを感じた。でもそれは後悔とかそう言うものではなかった。だから彼女の髪を耳の後ろにかけるとまた彼女に近づいて、ボクたちの距離を縮めた。今までに感じたことのないほど幸せだった。キムの体温を感じるだけで。世界を手にしたようだった。

 

「君のことが本当に好きだ、って言ったら決まり文句みたいかな?キム?」

 

キスをしながらキムに訊いた。それは熱いキスではなく、もっと情感のこもった愛おしいキス。

 

キムはキスをして微笑むと、首を横に振った。

 

「みんなのところに行きましょう。そこでそれを言ってみたら?」

 

最後の部分を冗談めかして言った。ボクにみんなのことを思い出させた。ボクの本当の本当の友だち。長い間ないがしろにしてしまった。それを今変えたかった。

 

***

 

キムとボクは一つのドアを開けた。あとでファンたちが押し寄せてくるだろうドア。何メートルもの、ものすごくでかいステージ。ボクは立ち止まってそれを楽しんだ。

 

ボクたち、メンバーがどれだけ上へのぼってきたか、ボクには理解できなかった。ここのところ、それを完全に忘れていたことにムカついた。ファンのみんながボクにとってどれだけ意味のあるものかということを伝えて来なかった。メンバーのみんなを何度も何度も裏切った。ボクは歌が、そしてパフォーマンスをすることが、大好きだということをすっかり忘れていた。それでも、みんなはボクを暖かく迎えてくれた。

 

ボクがキムの腰に手を回していると、舞台上で練習していたリーアムが気づいた。

 

「ハリー!」

 

彼の大きな声がホール中に響き渡った。みんながボクたちを見た。

 

「と、キム!」

 

彼女が忘れられていないように、彼は付け加えた。

お互いに走りより、ホールの中心に集まった。久しぶりに仲間たちを思いっきり抱きしめた。素晴らしい体験だった。

 

「来ないかと思って心配したぜ、」

 

口元に大きな笑みを浮かべながらルイが言った。

 

「少し助けてもらったんだ。」

 

微笑んで、歩きながら近づいてくるキムを引き寄せた。彼女の口にも笑みが浮かんでいた。ボクのと同じような。

 

「ボクの彼女にごあいさつを。」

 

笑って、この状況を楽しんだ。こういうことが出来るなんて。キムにはきちんと聞いていないけど、必要ないか。2人ともよくわかっていた。

それでも、キムはボクの言葉選びに驚く振りをした。

 

「まあ、本当に、ハリー。勝手に決めたの?」

 

キムが笑ったので、彼女もそれに異論はないとボクは思った。

答える代わりに、キムに素早く優しくキスをした。みんながはやし立てた。ボクは笑ってみんなを見ると、彼らの横を通り過ぎて、舞台に上がった。

 

「練習する?」

 

こんなに気分がいいことは今までなかった。メンバーのみんなとボクは出来る限りの練習をした。ボクが戻ってきたことをファンに見せる準備はできていた。長い間ボクが待っていたいい機会だった。ただボクがその気にならなかっただけで。だから、みんなで輪になり、舞台に出る準備をしていた時、全てを過去に葬り去る準備もできた。ここ数時間の短い間に起きたことだけれど、全てのことを認める時間を与えてくれた。ボクは恵まれている。ボクが経験してきたこと、ボクの目の前にあるもの全てのものに満足以外の何も感じていなかった。

 

「準備はいい?」

 

ボクが一番に頷いた。今だ。ホール中にアナウンスが鳴り響いた。力が体の中からみなぎってくる。やっとボクに何が出来るかを見せられること。

 

「One Direction!」

 

そのアナウンスに続いてファンの叫び。一番大事なことに気がついた:

ボクには出来る。ボクには価値がある。充分なんだ。

 

 

✘✘✘✘✘✘✘✘✘✘

 

読んでくれてどうもありがとう。

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あとはエピローグです。

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